もう疲れたー2

さて、ファミレスで説得開始。
私の母、私たち夫婦と息子、私の妹と甥という面子。

まずは母の言い分を聞こう。
「予算で家を選ぶなんておかしい。建てたい工法から選ぶべきだ。」
「どうしても木の家じゃないと嫌だ。」
「どうしても地元の工務店じゃないと嫌だ。」
「2×4の家を建てたい?それじゃ、あんたらだけで好きな家を建てればいいじゃんw」
「そんな家に住みたくないよ。私は一緒に住まない。」

このあたりで妻が泣き出した。

「そこの工務店が無理だったら、また工務店を探して見積もりを出させればいい。」
「安くやってくれる工務店が見つかるまで一年でも二年でもかける。」
ハウスメーカーなんて詐欺だ。ほとんど儲けなんだよ。」
ハウスメーカーの思うツボだってことがわからないの?」
「家造りってそういうものでしょ!?たった二ヶ月で施工先を選ぶなんて出来るわけない。」
「もっともっと時間をかけなきゃだめだって、本に書いてあったもん。」

普段なら苦笑いで済ますところだが、さすがに私もここまで振り回された鬱憤が爆発してしまった。
「この中から決めよう」と何度も念押しして選んだ四社が今の候補だ。工法などで気に入らない会社があるなら候補に入れなくてもよし、他に気になる工務店があるのなら加えるもよしと、選択権はすべて母に委ねてきた。妻が、「予算が許せばお義母さんのやりたいようにやらせてあげていいよ。」と言ってくれたからだ。
最初に各社から自社の工法や使用する木材の説明があったにも関わらず、この段になってハナからその工法で建てる気は無かったと断るなんてどうかしている。ただのクレーマーだ。

他に当てもないのに今の候補を全て断って、また一から工務店探しを始められるわけがない。「予算オーバーは仕方ないことだったんだ。あれが相場なんだ。」と後で気づいても引き返せず、かといって虱潰しに消去法で選んだ工務店で仕方なしに建てたくもない。

事ある毎に切り札のごとく「勝手にやればいいじゃん。そんな家には住まないから。」と言ってくる母を見ると、正直哀れみの感情しか湧かない。そんな人間と妻と息子が一緒に暮らして幸せになれるわけが無いよな。
妹にマザコンだと言われても仕方ないと、自分でも思う。でももういいだろう。息子や孫と同居することよりも、孤立して暮らすことを選ぶと言い張る可哀想な人にはもうこれ以上歩み寄れない。

ハウスメーカーも営業のプロらしく決断を急かしてくる。こっちもこれ以上引っ張って駆け引きするつもりも無いけど。

予算オーバーの見積もりを出した工務店に建坪を変えずに予算に合わせた家を建てられないか、もう一度だけ交渉しよう。私も家族が全員納得する家を建てたいという思いは変わっていない。正直に今の気持ちをぶつけてみようと思う。

それでも無理ならどこの工務店でやっても無理だよ。出来るところもあるんだろうけど探す気力もないし、激安でやりますよと言われても手抜きの不安が拭えない。この工務店に断られたらハウスメーカーに依頼するしかないだろう。こちらの希望の広さと設備を全て叶えて、しかも予算通りなんだから。断る理由が無いくらいだ。

それで母が家を出て行ってもゴミ屋敷が解体出来て新居が建てばいいやと思えてきた。借金を抱えるのは私自身だし、分不相応な家を建てて住宅ローンに苦しめられたくない。金は出さないけど口だけ出す人と最善の道を模索してきたが無理だったようだ。


ヘトヘトになって家に着いて食事をしていると、息子が「ばあばのマネだよ。」と言った。私たち夫婦がキョトンとしていると、「あんたらだけでかってにたてればいいじゃーんw。わたしはそんないえにすまないからねーw」と息子が大声で物真似をした。

夫婦で疲れた笑顔を作りながら、大人の醜い言い争いを見たくもないのに見せられている息子に対して本当に申し訳ない気持ちになった。