最近、金の心配しかしてないな


本命の工務店で予算の折り合いさえつけば、家族が納得して幸せに暮らすことのできる家が建つことは分かっている。ハウスメーカーのスケジュールに合わせたプランより設計の期間も自由が利くし、在来軸組み工法で選りすぐりの材料を使ってベテランの大工さんや職人さんに時間をかけて建ててもらえる。地元密着で長年やっている会社だけに信頼もある。仮住まいの家賃を考える必要がない我が家にとっては、工務店でじっくり建てたほうがいい結果につながるのは理解しているつもりだ。

しかし、現実的な問題として予算オーバーは無視できない。各社に6月の終わりには会社を決めますと約束していたこともあるし正直疲れてきたこともあって、本命の工務店の担当者に最後のお願いをしようと決めた。

もうこれで予算の折り合いがつかなければ、ハウスメーカーと契約するつもりだ。

「無理を承知でお願いしますが、どうしても御社で建てたいので予算に合った見積もりを再度出してください。」

「解体の分離発注など、費用を削れるところはこちらでも動くのでお願いします。」

「無垢の木を内装でふんだんに使用できればそれにこしたことはないが、この際こだわりません。」

「一階も二階も削れる面積は削りますので、なんとかしてください。」


もうね、自分の発言がよくわからない。妥協に妥協を重ねて、こちらから頭を下げているんだから。

「ま、どうせ無理ですよね?」という感情が裏にあったことは否めない。父の知り合いの工務店だから安くしてもらえるなんて思っていもいないし、そうだとしたら最初から言ってくれているはずだ。

地元の連れを頼って別の解体業者に見積もりを出してもらいましたよ。しかしこのご時勢、解体マニフェストを作成しなければならないそうで、そこまで価格に開きはなかった。それでも今は5万でも10万でも諸費用を削って建築費用に充てたい。仮に工務店側が難色を示してもそうしないと建てられないんだから仕方ないです。

詳細な見積もりをじっくり見直し続けてきたが、暗い気分になるだけだった。

予算とスケジュール、最初に言ったはずだけどなぁ。これって断られてることを察しろってことなのかな。なんか最初の希望とは違う家が建ちそうだ。今まで強気に説得してきた家族になんて言えばいいんだろ・・・・・・・・。

あれ?金の心配ばかりして自分がどんな家を建てたいと思っていたのか忘れてないか、俺?