新居に抱く幻想

頭では分かっている。家を建て直せば、今までと違う生活が送れるとか急に家族が仲良くなるなんてことはある筈がない。とは思っていながら、新居に問題の解決を期待してしまうことがある。
私にとっては母のゴミ屋敷だ。母の性格といってもいい。機能的な間取りで、本人も納得の設計を実現すれば、新生活も上手くいくに違いないと思い込む。冷静に考えれば、建て替えが性格改善にそこまで影響するワケないのだが。
新居での新生活に過剰な期待をしてしまうのは、家造りで多くの人が通る道ではないかと思う。なかなか進まないながらも、何度も書き直された設計図を広げているだけで楽しい気分になるものだ。


私が母の片付けられない病の改善に期待するように、母もまた、建て替えによって父が家庭で過ごす時間が増えることを期待している。

「そんなワケないじゃん!」母にツッコミをいれる私は、自分が見えてない愚か者だ。