同じ轍は踏まない

離れてしまった家族がもう一度同じ家で暮らせる家を建てたい。それには母が今の母屋に自分の居場所がなくなり離れに移ってしまった経緯を紐解かなければならない。自分の居場所というか縄張りを意識するあまりに、住居を所有物で埋め尽くしてしまうのか。などど素人考えでゴミ屋敷築城の心理を推測してしまう。物を収納できるスペースさえあればよいという問題ではないようだ。
これは依頼先候補にプランを立ててもらう際に、母がプライベートな空間を新居の外に造りたいとしきりに言っているのを聞いて思ったことだ。一戸建ての中に希望の空間を自由に設計していいよと言っても、母は家の中に自分の居場所はいらないと言い張る。設計士もなるべく施主の要望を形にしようと努力しているのだが、スタートラインが違うのでなかなか話が噛み合わないのだ。
再び家族の誰かが離れに暮らすことを見越して設計するなら建替えは無意味だ。三世帯住宅で衝突が多くなることは容易に想像されるが、皆が納得するまでは設計に何ヶ月でもかけるつもりでいる。
家族がバラバラになってしまった原因をつきとめて、同じ轍は踏まないように設計をしよう。まだやりなおしはきく。